伽羅の香りに纏わるあれやこれや
三日坊主にならぬよう、今日も筆をとってみました。連休の春みたいな陽気はどこへやら物凄い雨降りでしたね。でも空気はどこか緩んだ温もりがあって、少し嬉しくなりました。
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今日は伽羅の香りと雨降りに纏わるお話すると言えば中々情緒的ですが、平たく言うとたまに話題に出す桝屋はん、俊太郎さんのお話をしますね。最近再プレイし始めたのに相変わらずお話する人がほぼいないので、あわよくばどなかに知ってもらえればなって。backnumberのバラード曲の言葉の運びが好きな方は若しかしたら好きな文章の系統のゲームではないか、と勝手に思っています。主人公の心情や相手の仕草の描写、ストーリーの運び方とどれをとっても美しくて切ない。
まずこの桝屋はん(俊太郎さん)の出てくるゲームが、「艶が~る」という幕末時代を舞台にした恋愛シュミレーションゲームです。登場人物は、新選組の沖田総司や土方歳三、江戸幕府第15代将軍の徳川慶喜、また倒幕派の高杉晋作や坂本龍馬、現代からタイムスリップした主人公の幼馴染やお世話になる揚屋のご主人、などなど、京都の街を舞台に幕末の動乱に巻き込まれていくお話です。
タイトルのこの絶妙な伸ばし棒や公式サイトのガラケー時代から時が止まっている感、「現代の女子高生が幕末にタイムスリップ。そしてわたしが花魁に――!?」というあらすじの雰囲気になかなか惑わされるのですが、吃驚してしまうぐらい重厚で史実をうまく織り交ぜた切ないお話になっています。
確かゲームを知ったのは、こうろちゃんがたまたまプレイをしていた時に当時攻略をしていた俊太郎さんのお話を聞いたのがきっかけでした。
あまりにしんどいしんどいというので、京都のお土産に香十というお香屋さんで作中で俊太郎さんが焚いていたという伽羅の香り袋をチョイスして更に「しんどいよ~~」って言わせちゃおうっていう悪戯心100パーセントで贈ったのですが、思いの外香りが好みだったので「わたしもやってみようかな~」って割と好奇心で始めました。
ちょっと墨の香りに近い苦さもある、甘くてどっしりとした品のある香りです。香り袋は人工なので、本物はまた違うのかもしれないけど。やはり沈香の中でも最高級品というだけあって、1グラムでもウン万円の代物なので中々手が出せません。いつか買いたいね。
そして自分でも伽羅の香り袋を買って、割と軽い気持ちでゲームを始めました。そうしてぼちぼちと進めていたのですが、たまたま伽羅の香り袋を握りながらプレイをしていた時にですね、たまたま俊太郎さんに抱きしめられるシーンがありまして。正直抱きしめられるぐらいじゃあそこまでだったのですが、その時の主人公の心情や俊太郎さんの香りの描写(あった気がする)が物凄く刺さってしまって、初めて乙女ゲームであんなにどきどきしました。吃驚した。ものの2話で陥落しました。
それがちょうど雨降りのシーンだったので、雨と伽羅の香りが混ざりあってそれはもう魅惑的な香りだったんだろうと匂いフェチのわたしにはどうしようもなくて。一番忘れられないシーンです。まだ出会って2話だったんですけどね。1年しか一緒にいられない人なので手が早いです。
それからハッピーエンドを迎えたのなら、恐らくわたしもここまで引きずっていないような気がするのですが、史実をご存知の方はその通り古高俊太郎は新選組によって捕縛されて、倒幕派の関係者として拷問にかけられ処刑させられます。新選組の題材でもよく登場する、池田屋事件の発端ともなりました。
そうして彼も、史実通りに新選組に捕縛されて拷問にかけられます。新選組とも主人公は交流を持っていましたが、情け容赦ありません。そういう情に流されず史実通りに進む所がすごく好き。そこから投獄、処刑に至るまでが、今までの甘やかな日々が一気に切なさに変わっていきます。あの甘い日々が物凄く生きてくるし、最近プレイし直して気付きましたがちょくちょく台詞の伏線もあって、ただただ甘い台詞ではなかったのだと思い知らされます。うまくお話できないのがもどかしい限りです。
好感度によって、その処刑シーンをうまく救えたり転生してくれたりとエンディングは分岐しますが、わたしはその中でも古高俊太郎が処刑されて、その場面も俊太郎さんに「見るな」と言われて合わせてもらえず、オマケに現代に戻るも幕末での記憶が全て消えてしまう一番好感度の低いエンディングがピカイチで好きでした。一番現実的で。
それでも最後に修学旅行で主人公は俊太郎さんのことについて記述された石碑を見て何故だか涙が溢れる、という後日談も含めて大好きです。京都に行くたびに俊太郎さんのお屋敷の跡は見に行きます。(居酒屋が立ち並んでいる路地なので、大概従業員のバイクが止まっている)
去年の秋には、こうろちゃんと作中に登場した京都山科の毘沙門堂にしんどい巡りをしたこともありました。二人して全く消化ができていなくて。
(感極まって荒ぶる両手)
作中で俊太郎さんが毘沙門堂のお守りの中に、伽羅の香木の欠片を入れて贈っていたので、お守りもお受けして中に香り袋も入れてみたりしましたし、捕縛された俊太郎さんの家の女中さんから「きっと貴方に贈るはずだったはずです」と手渡された櫛も忘れられなくて、それっぽいつげ櫛も買おうかと思ったりと、かなりまだ拗らせています。どうにか消化がしたい。
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本当好き勝手お話しただけで大したプレゼンにすらなっていませんが、良かったら「艶がーる」のシロップ漬けの果物みたいにどろどろに甘やかしてくるのに思っているこちらが身が引きちぎれてしまいそうな身の運び方をする、古高俊太郎さんをどうぞお願い致します👌🏻他のキャラクターのお話も、こうろちゃん曰く中々美しく切ないお話になっているそうです。
そして良ければ、拗らせてしまっているわたしにどうかお話してやってください。
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